アースとは、車においては通常と意味が異なる単語となります。家電におけるアースは、漏電した電気を地中などに逃がす行為のことなのですが、車におけるアースは車のボディを電装品のマイナス配線代わりとして活用することを指しているのです。
今回、このコラムではそんな車のアースについて詳しく解説していきます。また、家電のアースのやり方もご紹介していきます。
車のアース『ボディアース』とは?
車には「ボディアース」という言葉があります。アースと聞いて多くの人は大地に電線をつないで、電気を逃がすことを想像するのではないでしょうか。そのため、車は絶縁体であるタイヤが地面についているからアースできないのでは?といった疑問をもつ方も少なくありません。
ではボディアースとはなんなのか。それを知るためには、車のなかでどのように電気が流れているかを知る必要があります。
車のなかで電気を使う部品・機器の電源はバッテリーです。電気はプラスからマイナスにつながっていないと流れないので、車のなかでも同じようにバッテリーのプラスからマイナスまでつながっています。
ではプラスから電気使用機器を通った後はどのようにマイナス側につながるのかというと、じつは車のボディを通って帰ってきます。すなわち車のボディは、マイナス配線として使われているのです。
車のボディは金属でできている部分があるため、そこに機器から来た配線を合流させバッテリーのマイナスターミナルにつなげています。このボディに配線を接地させることをボディアースといいます。
つまり車でのアースの目的はマイナスへの配線であり、しなければ動作しないということになります。
家電のアースとの違い
では車のアースと、一般的な家電のアースの違いはなんなのでしょうか。
家電にはほぼ必ずアース線というものがついています。しかし実際にアース線を使っている方は少ないのではないでしょうか。なぜならアース線をつながなくても、家電は動作することができるからです。
これはアースの目的によるもので、家電のアースは電気を逃がすために設計されています。たとえば漏電や過電流など電流が引き起こすトラブルがあったとき、電気を逃がさなければ家電が故障や火災の原因になります。そのため家電を守る保護接地の役割を担うのがアース線なのです。
すなわち車のアースは車を動作させるため、家電のアースは家電を守るため、というそれぞれの目的に違いがあるのです。
ボディアースのやり方
車のアースと家電のアースの違いがわかったところで、実際にボディアースを行ってみましょう。
1.アース接続にはネジなどの車体金属部につながっているものを使います。樹脂などの絶縁パーツにつないでしまうと、車体に電気が流れなくなってしまいます。
2.端子はネジに共締めして取りつけますが、このときクワガタの角のような形の、クワガタ端子が使われます。片端を機器のマイナス線、もう片方をネジに取りつけます。
3.取りつけ方は簡単でレンチなどでネジを緩め、その隙間にクワガタ端子を滑り込ませるだけです。あとは共締めして完了です。
着脱は意外にも簡単で工具さえあれば、経験がなくてもできると思います。ボディにつないだ先はバッテリーと純正の配線でボディがつながっているため、こちらの方ですることはありません。
なおマイナス線を探す際は、検電テスターを逆使いすることで調べることができます。検電テスターの逆使いについては過去コラム「テスターを使った極性の調べ方!コンセントの極性、ほんとに正しいですか?」で紹介しています。あわせてご覧ください。
家電のアースのやり方
車のアースのついでというわけではありませんが、家電のアースのやり方もご紹介します。
1.アース端子を探す
家電についているアース線をつなげる場所は、コンセントのアース端子になります。コンセントの穴の下部に開きそうな小さな窓がついていると思いますが、それがアース端子です。
2.アース端子につなぐ
アース端子のカバーをマイナスドライバーなどでこじ開けると、中にアースネジとよばれる金属部品が入っています。これはネジなのでプラスドライバーで緩めることが可能です。ネジを緩めたらアース線と端子をつなぎます。
3.最終確認
アース線とアース端子をつないだ後はネジを締め固定します。最終確認としてアース線を下に引っ張ってみて、外れなければ問題ありません。つなぎ方やネジの締めが甘いと、外れてしまうことがあります。あとはカバーをして接続完了です。
まとめ
アースはアースでも車のアースは配線のためのものでした。ボディアースがなければ車が動かなくなってしまうのでとても重要なことです。対して家電のアースは漏電などが起きたときに、電気を大地に逃がす役割があります。動作のための車のアースと保護のための家電のアース、それぞれの違いをよく理解した上でそれぞれの作業をすると、より作業の意味がわかるかもしれません。
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