どうして漏電で火災が発生するの?漏電火災のメカニズムを説明します

2021.4.30

どうして漏電で火災が発生するの?漏電火災のメカニズムを説明します

「火災の原因は漏電によるものと思われます」たまにニュースなどで耳にするこの「漏電火災」。おそろしい事故ですが、あなたは疑問に思ったことがありませんか?「電気が漏れたからってなんで火事になるの?」電気と火、微妙に納得できるような、できないようなこの漏電火災。いったいなぜ発生するのでしょうか。

この記事ではそんな漏電火災のメカニズムについて書いていきます。安全についての意識を高めるためにもぜひお読みください。

漏電とは?

そもそも、漏電とはいったい何なのでしょうか。漏電とは、本来電気が通るべきルートをはずれて流れる(漏れる)現象のことをいいます。漏水ならば、本来水が通るべきルート(水道)に穴などがあいてしまい、水が漏れてしまうことをいいますよね。これの電気バージョンだと思っていただければわかりやすいでしょう。

電気は普段、電線やケーブルなどの電気を通しやすい物質の中を通り流れています。そして、これら電線やケーブルは、外に電気が漏れないようにするために、通常、絶縁という電気を通しにくい物質で覆われています。

しかしこの絶縁に傷がついていたり、劣化を起こしていたりすると、正常な電気の通り道(電線やケーブルの中)以外にも電気が流れ出てしまうのです。この状態のことを漏電といいます。

ネズミなどが電気ケーブルをかじって漏電が起こるというのはこういった絶縁部分が切り取られてしまうからです。漏電すると感電の危険性がありますし、一歩間違えれば漏電火災といった深刻な事故を引き起こしてしまうおそれがあります。

漏電が原因で火災が発生するのはどうして

漏電火災という言葉が出ましたが、ではなぜ漏電していると火災が起きるのでしょうか。まずは、漏電に基づく放電もしくはスパークが引火源となってしまう場合です。スパークとは、「放電などによって火花が出ること。また、閃光(せんこう)を発すること」です。電線からバチバチっと出た火花が、ガスや何か可燃物に引火してしまうと火災が起きてしまうのです。

ほかにも、抵抗加熱といわれる発熱によって発火してしまう場合もあります。本来は抵抗値が極端に大きくほとんど電気が流れないはずの部分(絶縁部分)でも、水分・油脂類・塵埃などのほかのものと接触したり付着したりすると抵抗値が低下します。すると、絶縁部分にも電気が流れるようになってしまうのです。

その電気が急に流れるようになってしまった場所は、電気が流れるとヒーターと同じ原理で発熱し、火災の原因になります。

また、同じ原理で実は電気コードもほんの少しではありますが、発熱しています。許容値以上で連続して使用したり、ぎゅうぎゅうに丸めて熱がこもるようにしたりしてしまうと、発火してしまうおそれが少しだけあるのです。

誘導加熱という原理が働いてしまうこともあります。誘導加熱とは、IHヒーターにも使われている原理です。コイルの中(もしくは接触させる)に金属を入れると、磁力の影響から金属の中に電流が流れ、その金属が熱を持ってしまうという状態です。

直接火花が出るスパークも、徐々に熱を持っていく抵抗加熱も誘導加熱も、すべて危険ではありますので、これの原因になる漏電には注意しなければなりません。

とくに、外壁が「ラスモルタル」となっている建物は漏電によって火災が起こりやすいといわれています。ラスモルタルとは、ラス網というモルタルの剥離を防ぐためにモルタルの下地の上からモルタルを塗った施工のことです。

ラスモルタルの外壁で漏電が起こると、下地に使用されている金網が発熱し、接している木材が発火します。これは壁の内部などの見えない部分から発火が起こるため、発見したときにはすでに火が燃え広がっているということが多いです。また、発火元を探している途中で一酸化炭素中毒になるおそれもあります。

漏電による火災を防ぐために必要なこと

このようにおそろしい漏電火災を防ぐために、日ごろから対策をすることが必要です。直接、漏電を防ぐ対策もですが、もし漏電していたとしても、火災にならないようにする心掛けも大切です。漏電自体を防ぐためには、以下のようなことが有効だといわれています。

家電をアースにつなぐ

アース線とは、地面に打ち込まれている金属の棒を通して電気を地面に流すために使用する線のことで、洗濯機などの電化製品にある緑色のコードを指します。家電がアース線にしっかりと設置されているかを確認し、設置されていない場合はつなぐようにしましょう。

とくに水回りで使う家電にはアースが必要です。洗濯機、冷蔵庫、ウォシュレットなどは絶対ともいえるでしょう。

電気コードを折ったり曲げたり、束ねた状態で使わない
電気コードも大切に扱いましょう。電気コードを折る、曲げる、束ねた状態で使うなどすると、コードが傷つく原因になり、接触不良や破損に繋がり、漏電を起こし、その結果加熱を引き起こしてしまいます。

濡れた手で電化製品を使わない、湿気の多い場所に保管しない
濡れた手で電化製品に触れたり、湿気の多い場所に電化製品を放置したりしていると感電をするおそれがあります。水は電気をよく通すため、濡れた手でコンセント・プラグ・スイッチなどに触れると感電する可能性があります。電化製品にアース線がついていない場合もあるためそのような場合はすぐにアース線を取り付けるなど対策をしましょう。

ほこりが溜まらないようにコンセントを清潔にする
ほこりがたまったコンセントを使うと「トラッキング現象」という現象が起こり発火につながるおそれがあります。トラッキング現象とは、コンセントにたまったホコリが湿気を持つことで火花放電を繰り返し「トラック」と呼ばれる電気の道を作ることで放電を起こし発火する現象です。

漏電ブレーカー働いていますか?

・落雷でもないのにブレーカーが落ちた
・消費電力が高い家電を同時に使ってないのにブレーカーが落ちた
・不定期で頻繁にブレーカーが落ちる

このような状況に心当たりはありませんか?

ブレーカーには漏電ブレーカー(漏電遮断器)という装置があります。簡単にいうと、漏電が起きたときに自動的に電流を切ってくれる装置です。一般に取り付けられている漏電ブレーカーは、は0.03アンペアの漏電で作動します。上記の状態に心当たりがある方は、漏電を探知して漏電ブレーカーが作動している可能性があります。

放っておくと漏電火災を引き起こしてしまうおそれもあるので、急いで漏電個所を突き止めましょう。なお、漏電ブレーカーがない家庭の場合は漏電ブレーカーを設置するとよいでしょう。

漏電が発覚したら

もし漏電が発覚した場合、電化製品のコードに原因が見られなければ内部の配線がショートしている可能性が高いです。これは漏電改修のプロでないと修理ができないため、自分で何とかしようとせず速やかに漏電改修のプロに連絡をして修理してもらいましょう

漏電による火災でも保険は適応される

漏電が起こったときには、火災保険が適用されることがあります。そこで、ここではどんなときに火災保険が適用できるのかについてご紹介します。

火災にはならず使用不可になっただけの場合について

通常の火災保険にもセットされている場合があるのが「電気的・機械的事故担保特約」です。これは通常建物の火災保険にしかつけることができないものです。

したがってエアコン・太陽光発電・給湯器・床暖房など建物と固定されているもので漏電が発生し故障した場合は保証がされますが、扇風機など独立した家電で漏電が発生し壊れた場合は保証されません。

漏電、ショートが火災に繋がった場合

原因が漏電、ショートであっても火災が発生すれば、それは火事として保険が適用され支払いがされます。先述した扇風機は、漏電が原因で故障をした場合は保証がされませんが、扇風機が漏電したことによって火災が発生した場合は火災として保険が適用されます。

まとめ

「漏電すると火災が起きる」とよくいわれますが、実際になぜ火事になるのかご存じだった方はあまり多くはいなかったのではないでしょうか。

この記事で漏電火災のメカニズムがおわかりいただけましたら幸いです。また、もし漏電の危険性がある場合は、放っておかずにきちんと対処しましょう。


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