エアコンからの漏電は故障が原因とは限らない?漏電箇所の特定方法

2021.4.30

エアコンからの漏電は故障が原因とは限らない?漏電箇所の特定方法

暑さ寒さが厳しい季節、頼りになるのが部屋に設置されているエアコンです。夏は室内の熱を外へ逃がし、逆に冬は室内に熱を取り入れてくれるエアコンは、快適な暮らしには今や欠かせない存在でしょう。そのエアコンが突然使えなくなる原因のひとつに「漏電」があります。

たかが電気が漏れているだけ、と侮ってはいけません。電気は私たちの暮らしを豊かにする一方、危険をもたらす存在でもあります。とくにエアコンでは大電流を扱っているため、漏電のリスクもより高くなるのです。

今回はエアコンが漏電を起こしたときの対処法を状況別に確認していきます。

エアコンからの漏電が怪しい場合のチェックの手順

漏電、というと洗濯機など「水回りで使う機器」の話、というイメージが強いと思います。確かにこうした機器には「アース線の接続」が義務化されていることからもわかるように、万が一漏電したときにも人体への被害をふせぐ対策が求められています。

しかし意外なことに、エアコンも「水回り機器」のひとつなのです。それはなぜなのでしょうか。

室外機は雨の当たる場所に置かれるため

その答えは室内側の本体ではなく配管がつながった先、室外機にあります。

ほとんどの室外機は雨の当たる空間に設置されます。それは充分な量の空気を取り込む必要があるから。夏は室内の熱を排出し、冬は屋外の熱を取り込むのに適した風通しのよい場所というのは、雨なども降り込みやすい場所であることがほとんどです。

もちろん室外機はこうした厳しい環境に設置される前提で設計されており、内部の電子制御部分には雨が当たりにくいような工夫がされています。それでも漏電を起こすことはあることといえるでしょう。

室外機のコンプレッサー周辺が漏電を引き起こしやすい

室外機の中でも漏電を引き起こしやすいとされるのが「コンプレッサー」と呼ばれる部分です。

コンプレッサーは室内側本体と室外機の間を循環する冷媒ガスを圧縮することで液体にし、熱を放出させる役割を持っています。いわばエアコンの心臓部といえる部分といえるでしょう。このコンプレッサーを動かすためには潤滑油が必要になってくるのですが、その中に液体の冷媒が混ざってしまうことが少なくありません。この状態で放置すると再稼働時一斉に気体へと変わり、コンプレッサーを壊してしまうおそれも出てきます。

そのためエアコンが停止しているときでも冷媒を徐々に気化させて追い出せるよう、コンプレッサーにはヒーターが取り付けられています。このヒーターが漏電を引き起こす例がかなり多いのです。

コンプレッサーはその役割上、本体の温度も低くなる傾向があります。こうした温度変化コンプレッサーの振動によってヒーター部分の絶縁が劣化を起こし、表面に付いた結露と接触することで電気が漏れ出すという原理です。

本体内部も熱交換の仕組み上結露する

水が付くのは室外機だけではありません。室内側の本体もその内部では、多くの水が生まれています。

空気には含むことのできる水蒸気の量(飽和水蒸気量)があり、冷やされるとその量が少なくなるという性質があります。とくに冷房時のエアコンは暖かい空気から冷媒へと「熱のみ」を移動させるため、含み切れなくなった水蒸気が熱交換器へ、水滴となって付くのです。こうした結露水は熱交換器の下にあるドレンパンによって受けられ、配管とともにドレンホースを伝って外に流れ出るようになっています。

こうした結露水が万が一電子制御部分などに浸入した場合も、漏電の危険性が高まるといえるでしょう。

現在の内線規程ではアース義務化

電気工事の際、施工方法の基準として用いられることが多いのが「内線規程」と呼ばれるものです。この内線規程は時代に合わせ改正がおこなわれてきており、その一環として漏電のおそれのある水回り機器にはアース線の接続が義務化されるようになりました。雨が当たる位置にある室外機を持つエアコンも、その対象です。

雨が当たる場所の基準として「軒先から地面に対し垂直に下ろした線から45度内側に取った線」が使われることが多いです。これを「雨線」といい、雨線より軒先に近い部分は雨に当たらない、それより外側は直接雨に当たる場所と考えられます。エアコンはこの雨線より外側に配置されることがほとんど。そのため「エアコンにはアースが義務化されている」と考えるのが妥当といえるでしょう。またエアコンは大電流を扱う機器のため、漏電した場合のリスクが高いという事情も絡んできます。

内線規程からもエアコンの漏電に対する危険性が考慮され、より安全に設置するような基準作りがされたことがうかがえます。エアコンは漏電する可能性がある、ということを十分に理解しておいてください。またアース線は必ず接続してもらうようにしましょう。

エアコンの漏電が疑われる場合に調べたいこと

ではエアコンが漏電していると疑われる場合、どのような点を調べればいいでしょうか。その手掛かりとなるのが「ブレーカーの落ちるタイミング」です。

どのタイミングでブレーカーが落ちるのか

引込線から取り入れられる家の電気の大半は一度分電盤を通り、各部屋へと届けられます。そして分電盤には漏電を検知するための専用のブレーカー(漏電ブレーカー)が設置されており、使い方次第で漏電箇所を絞り込む手掛かりとなります。

まさか停電?ブレーカーが落ちてないのに電気がつかない原因とは

まずは分電盤の右側、各部屋の配線ごとに対応して設置されている安全ブレーカーを一度落としてみてください。その後漏電ブレーカーを上げ、1つずつ安全ブレーカーを上げていきます。

なおエアコンなど電化製品の内部で漏電が起こっている場合、1つずつブレーカーを上げるだけでは漏電が見つからないこともあります。その場合は気になる電化製品の電源を入れてみることも大切になってくるでしょう。

エアコンに対応する回路に漏電の疑いがある場合、エアコンの運転の有無によって次のような漏電箇所が考えられます。

【運転していないときにもブレーカーが落ちる】

エアコンの運転をしていないときにもブレーカーが落ちる場合、原因として疑われるのは待機時に動く回路、もしくは屋内配線になります。また、エアコンの漏電原因として「コンプレッサーヒーター」や「エアコンコンセントがある配線上」もあり、これらの箇所で漏電が起こっている場合も多いようです。

対処方法については次章「運転していないときに漏電ブレーカーが落ちる場合」で解説します。

【運転中にブレーカーが落ちる】

エアコンの運転を始めるとブレーカーが落ちる場合、エアコンの運転回路で漏電していると考えられます。とくにエアコンの心臓部であるコンプレッサーや、運転時に開閉する冷媒バイパス用電磁弁などは漏電しやすい箇所です。

この場合の対処法については次々章「運転しているときに漏電ブレーカーが落ちる場合の対処」で解説します。

運転していないときに漏電ブレーカーが落ちる場合

エアコンを運転していないときにも漏電ブレーカーが落ちる場合も、その原因を2つに切り分けてみましょう。

一度コンセントを抜き、ブレーカーが落ちるか確かめる

もしもエアコンの待機時に動作するコンプレッサーヒーターなどの回路が原因であれば、エアコンを物理的に切り離すことでブレーカーは落ちなくなるはずです。一方屋内配線が原因であればエアコンを外してもブレーカーは落ちてしまいます。そのため一度エアコンのコンセントを抜いてみましょう。

ただしエアコンが漏電している場合、コンセントプラグに触るだけでも感電する可能性は否定できません。面倒ではあるものの、一度ブレーカーを落としてから抜くようにしてください。またアース線が接続されている場合はプラグを抜いてからアースを外すようにすると安全です。

エアコンのコンセントを抜いた後にブレーカーを戻しても電気が落ちる場合、その原因はエアコンではなく屋内配線にあると考えられます。速やかに「漏電改修のプロ」に依頼し、原因箇所を特定してもらいましょう。一方コンセントを抜くと漏電ブレーカーが落ちなくなった場合はエアコン内の故障が疑われるため、エアコン修理のプロに依頼してみてください。

運転しているときに漏電ブレーカーが落ちる場合の対処

運転しているときに漏電ブレーカーが落ちる場合、エアコン内部での故障が濃厚といえます。ただしエアコン内部には高電圧を持つコンデンサーなどが使われているため、自分で分解して修理するのは危険です。

ブレーカーを落としてコンセントを抜く

自分でできる唯一の対策は「コンセントを抜くこと」です。とはいってもエアコン用コンセントは安全上の理由から、通常ほかのコンセントとは別に配線されています。そのためブレーカーを落とすだけでも十分安全といえるのです。

コンセントを抜く場合はブレーカーを落としてしばらく経ってから、乾いた手で扱うようにしましょう。アース線が付いている場合は最後にアースを外すようにしてください。その後エアコン修理のプロに依頼し、故障箇所の修理・交換をおこなってもらうようにしましょう。

      エアコンの漏電に違いない!と判断したらどこに連絡するのがいい?

エアコン周りが漏電しているときの費用相場

漏電改修のプロやエアコン修理のプロなど、業者に頼むとき気になるのが費用面です。この章ではエアコン修理が必要か、それとも屋内配線の修理が必要かに分けて費用相場を確認していきます。

エアコンに問題がある場合

エアコン内で漏電している場合、その修理費用は修理する箇所によっても大きく異なります

とくに漏電に関する修理ではコンプレッサー周辺に問題を抱えることが多い点はこれまで説明してきました。このコンプレッサー回りは修理でも5万円前後掛かるほか、交換となると10万円以上掛かることも少なくありません。

コンプレッサー周辺は強い圧力が掛かる部分のため、部品の取り付けも確実におこなう必要があります。そのため溶接など特殊な技術を伴う交換作業となり、費用も高額になるのです。

エアコンの漏電はメーカーの保証期間が過ぎてから起こる場合が大半です。買い替えも視野に入れつつ、修理前には必ず見積りを出してもらうようにしましょう。

エアコン修理の費用詳細については生活110番コラム「エアコン修理は高額になりやすい!費用相場と安く抑える方法をご紹介」でも詳しく取り上げています。

屋内配線に問題がある場合

一方屋内配線に問題がある場合、大半は配線の引き直しになるでしょう。この場合の費用は8,000円前後からが目安です。ただしほかに漏電箇所がないかの調査が伴う場合もあり、実際の費用はそれより高くなることも十分に考えられます。こちらの場合もしっかりと状況を伝え、だいたいの費用目安を見積りとして出してもらうことが重要になってくるでしょう。

なお屋内配線の漏電修理については生活110番コラム「漏電の修理に掛かる費用は?漏電が疑われる場合はすぐに業者へ連絡!」でも詳しく取り上げています。

ほかの電化製品がつながっていないかも確かめよう

ここまでの前提として、「エアコンのコンセントにはエアコンしかつながっていない」というものがありました。というのは現在の内線規程では「専用コンセント」の設置が義務化されているからです。

エアコンは大電流を取り扱う機器であり、広い部屋向けのエアコンでは通常のコンセントで使われる電圧100Vではなく、200Vを使用することも少なくありません。一方屋内配線に使われる電線は15Aまたは20A想定となっていることが多く、ときに15Aを超えるタイプすらあるエアコン以外の電化製品をつなぐと発熱の危険も出てきます。こうした理由から通常エアコン用コンセントは専用の配線が設けられるのですが、例外が起こっていることも少なくありません。

意外な電化製品がつながっていることも

たとえば換気扇などを増設する際には、高い位置に新たなコンセントを設ける必要があります。しかし部屋の低いコンセントから配線を引っ張ってくるのもなかなかの手間でしょう。そのとき、すぐ近くにエアコン用の配線が通っていたら……。すぐ近くだから、とエアコン用配線を分岐させていることが意外とあるのです。

この場合、もしも漏電が換気扇で起こっていても反応するのはエアコン用の配線ブレーカーです。また過電流で落ちる可能性もありますが、いずれにしても「エアコンのトラブル」と考えてしまうでしょう。そのため一度コンセント側に問題がないかチェックすることも検討してみてください。

まとめ

大電流を扱うエアコンからの漏電は、私たちの生活に対して大きな危険をもたらしかねないものです。まずは「エアコンは水回り機器」という感覚を持って、アース接続などの感電防止対策をしっかりとおこなっておくことが重要になってくるでしょう。そのうえで漏電が疑われる際には安全に家の配線から切り離し、エアコン修理や漏電改修など、適切なプロに依頼することが大切です。

快適に生活を送るための必需品となったエアコン、安心して使うためにも漏電対策はしっかりとおこないましょう。

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