なぜ接地をする必要があるのか?接地工事の4種類と大地抵抗率とは

2021.4.30

なぜ接地をする必要があるのか?接地工事の4種類と大地抵抗率とは

家電製品は電気を使っている割には「感電事故が起きた」という話はあまり聞きません。なぜでしょうか?
これは家電にほぼ必ず施されている「接地」と呼ばれる工夫によって防がれているのです!ここでは「人体に電流が流れてしまったら?」という話から接地の重要性と接地工事について説明します。

人体に流れる電力の影響とは

人間の体にも電流が流れます。身体にかかる電流の式は[ 電荷 ×電子の密度 × 電子たちの平均速度 × 電荷の通り道の断面積 ]です。電流の大きさによっては、人体に流れた場合にある影響が起きるので、流れる大きさに分けて確認しましょう。

・0.5mAから5.0mA
指や腕などに針でつつかれたような感覚を覚えます。電気風呂は大体この辺りの電流です。しかし、電気風呂はそれぞれ電圧が違い、電圧によってまた感覚が変わってくるためあくまで参考です。

・5.0mAから20mA
この辺りから呼吸が難しくなり、自分で思うように体を動かすことができなくなります。また、筋肉の収縮が起きるために、つかんでいるものを手放すことができなくなります。

・20mAから50mA
失神が起きたり、血圧が上昇したりします。この辺りから痛みを感じるようになり、長時間電流にさらされると大変危険な状態になります。

・50mA以降
この辺りから人体にとって大変危険な状態になります。心配が停止したり、やけどしたりするおそれが高まり、死亡する可能性が非常に高くなります。

このように人体に電流が流れるのは大変危険なので、接地をすることで人体に電流が流れないように対策をする必要があるのです。

人体に流れる電力の影響とは

接地は役割で分けられる!

電流は、並列につながれた低い抵抗と高い抵抗では、低い抵抗に大きく電流が流れる性質を持っています。電化製品は雷など、突然大きな電流が流れると故障するおそれがあるのです。接地とは家電製品を抵抗が低い地面に接続することで、雷などの突然大きな電圧を受けた場合に、電流を地面に流す効果を持っています。

また家電製品が漏電した際に、その家電が接地されていないと触れたときに人体に電流が流れてしまいます。接地がしてあれば、漏電しても漏れた電流は人体ではなく、より抵抗の小さい地面に流れるため触れることができるでしょう。しかし、それでも人体にはわずかながら電流が流れています。

このように接地は、雷による機器の故障を防いだり、漏電から感電を防ぐことによって人命を守ることが主な目的になります。

接地はさらに強電用と弱電用の2つに分かれますが、強電用の接地とは電線につけられ、雷などによって家庭に大量の電流が流れ込まないようにするための接地です。弱電用の接地とは家電製品などに付けられて、電圧の増幅によって機器を壊さないように電気を受け流すのが弱電用の設置となります。

ちなみに、自宅の家電製品の1つ1つから電極がのびて地面に接地しているわけではなく、分電盤に取り付けられている漏電ブレーカーが一括して、漏電したときに接地をするなどの制御をしています。

接地は役割で分けられる!

接地にも種類がある

接地はその目的に応じて工事をおこなう必要があり、接地の工事にはA・B・C・Dの4種類に分かれます。これらの違いとはいったいなんでしょうか?接地工事の主な目的は「人命保護」です。家電製品をはじめとした電子機器が持つ大きな電流が、人体に流れてしまうと大事故につながってしまうからです。

接地工事のA・B・C・Dは漏電が予想される機器の電圧によって変わり、種類によって地面にさした電極と流す先の地面の間で生まれる抵抗の数値(接地抵抗値)が決まってきます。具体的にみていきましょう。

A種接地工事(第一種接地工事)

A種接地工事は電圧が600Vより大きい電子機器を収容している、金属の箱や鉄台(かなだい)と呼ばれる鉄製の台などに接地をおこなう工事です。接地抵抗値は10オーム以下です。A種で扱う「600Vより大きい電子機器」は感電が起こると非常に危険なため、接地の電極は地面から75cmより深くさすなど厳重な工事が定められています。

B種接地工事(第二種接地工事)

B種接地工事は高い電圧と低い電圧の2つの電圧を持つ変圧器の中で、なにかしらのトラブルがあったときに高い電圧が低い電圧の方へ侵入し、電圧がいたずらに上昇することを防ぐためにおこなわれる工事です。接地抵抗値は、高い電圧側の変圧器に流れる電流から150を割った値になります。

C種接地工事(特別第三種接地工事)

C種接地工事は300Vより大きく600V以下という低圧用の機器を収容している箱や鉄台に接地をするための工事を指します。接地抵抗値は10オーム以下ですが、地面に接触して0.5秒以内に自動で回路をブロックする装置をつける場合は500オームに緩和されます。

D種接地工事(第三種接地工事)

D種接地工事は300V以下の低圧用の機器を収容している箱や鉄台などに接地をするための工事を指します。こちらの接地抵抗値は100オーム以下ですが、回路をブロックする装置をつける場合は500オームと求められる抵抗値が緩和されます。

家庭の電子レンジやテレビもここに含まれているため、一般家庭で行われる接地工事はD種接地工事になるでしょう。

接地にも種類がある

接地抵抗値の重要性とは

接地のために地面にさした電極と、漏電した電流を流す先の地面の間で生じる抵抗は「接地抵抗値」といいます。これに大きく影響を与えるものが「大地抵抗率」です。接地の電極は地面にささっていますが、その地面の土壌は地域によって含まれている水分や温度によってどれだけ電流を通すのかが変わってきます。

もし条件の悪い土壌で設置工事をする場合は粒の細かい地層にまで電極を打ち込み、接地抵抗低減剤と呼ばれるセメントなどを混ぜた薬品を電極と土壌の間に入れるなどの対策を講じる必要があります。

とくに、高い抵抗を持った土壌を持つ中国地方や岐阜県の山間部などでは、ボーリング調査などで奥深くまで地層を調べ、できる限り抵抗の小さい場所を探すため接地工事も大掛かりなものになります。

まとめ

人間は5mAという小さな電流でも人体に影響が及ぶため、漏電したときにいかにして人体に電流を流さないかがポイントとなります。そのためには漏電した電流をより抵抗の小さい地面に流すために接地が必要になるのです。接地をする工事にはAからDまでの4種類があり、接地が必要な電子機器が持つ電圧によって分かれています。

接地の電極を打ち込む土壌は日本各地どこでも抵抗が一緒というわけではなく、電流を通さない土壌をもつ地域では接地工事が大掛かりになってしまうので注意が必要です。接地工事はこのように専門知識を必要とする工事となるので、専門の業者に依頼をしましょう。

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