200Vコンセントにアースは重要!特殊なコンセントを活用しよう

2021.4.30

200Vコンセントにアースは重要!特殊なコンセントを活用しよう

エアコンなど大電力を消費する機器には安全のため、分電盤から直接配線される「専用コンセント」が設けられる場合が多くなっています。しかし広い吹き抜け空間のあるリビングのエアコンやIHのビルトインコンロなど「100Vコンセントから取れる電力では足りない」という場合も出てくるのです。

このような場合に対応できるよう、多くの家庭の分電盤では200Vの電圧を取れるコンセントを設置できる仕組みとなっています。今回は200Vのコンセント、そして200V使用時のアースの問題について考えていきましょう。

なぜ100Vと200Vが使い分けられるのか

家庭内に設置されるコンセント、そしてそれに対応する電化製品は100V対応のものが大半を占めています。ではなぜわざわざ、200Vのコンセントを設置する必要があるのでしょうか。

安全に、より大きな力を取り出すため

1秒あたりに電気がどれだけのエネルギーを供給できるかを示す数値を「電力」といい、単位ワット(W)で示します。そして電力は「電圧(V)」×「電流(A)」の値と一致することが知られています。

たとえばある電化製品が「1,000W」の電力を必要とするとしましょう。100Vのコンセントの場合、1,000Wを確保するためには10Aの電流供給が必要です。一方200Vコンセントが利用できる場合、この1,000Wの電力を確保するには5Aの電流供給で済むのです。

1,000Wの機器であれば100Vコンセントでもまだ対応できますが、これが2,200W必要な電化製品の場合どうでしょうか。100Vコンセントの場合は22A必要となり、配線にかかる負担も大きくなります。一方200Vコンセントであれば11Aの電流を供給するだけで済むのです。

ちなみに屋内配線に使われる銅線は15Aまたは20Aまでの電流が流れることを想定しています。その点でも安全に大電力を取り出すには、電圧を大きくする方が有利になるのです。

この電気の仕組みを詳しく知りたい方は生活110番記事「【電気の基礎知識】電圧とはなに?電流って?わかりやすく解説します 」をご覧になると、より理解が深まるでしょう。

大電力を必要とせざるを得ない機器が存在する

日本で200Vコンセントを使うことが多いのは「エアコン」「電子レンジ」「電気温水器」「IHコンロ」といった機器です。

エアコンや電子レンジは省エネ化が進んだこともあり、現在では100V対応のものも多くなっています。しかし広いリビングや天井の高い吹き抜け空間を冷やすためには以前大きな電力が必要です。また電子レンジもコンビニのように1,300W加熱をおこなうことを考えれば、200Vの方が安全に利用できることもあるでしょう。

一方大型の電気温水器、とくにエコキュートは電気料金の安い夜間に大量のお湯をわかし、日中利用するというスタイルです。そのため短時間に多くのお湯を沸かすだけの電力を必要とすることが多いです。ビルトインタイプのIHコンロも同様で、複数のIHヒーターを同時使用する場面では使用する電力は決して小さくありません。

このように200Vコンセントは、大電力を安全に取り出すための工夫のひとつなのです。

ハイパワー家電が増えている!200Vのコンセントを設置するときは

200Vコンセントと100Vコンセントの違い①見た目

100Vの機器を誤って200Vコンセントに差し込んでしまうと想定外の大電流が流れてしまうおそれがあります。そのためコンセントの穴の形状には違いがあり、誤って差し込むことができないようになっています。

コンセントの穴の違いは次のようになっています。

200Vのコンセントは右穴が横向きになっているのが特徴で、対応するプラグも同様に横向きになっています。コンセントを差し込むときには穴の形状に一度注目してみましょう。

200Vコンセントと100Vコンセントの違い②配線

家庭へ100Vと200Vの両方を安全に供給できるよう、電気配線にも工夫がされています。

多くの家庭は単相三線式

電気を供給するためには最低でも「行き」「帰り」の2本の配線が必要となります。ただしコンセントの電気は交流であり、常に「行き」「帰り」が入れ替わっている(電圧が周期的に変動している)のが特徴です。

しかし多くの家庭ではこれを1本増やし「3本」で電気を供給しています。このうち2本には-100~+100Vの電圧がかかっていますが、1本には電圧がかかっていません。それどころか電柱に取り付けられた変圧器近くで、この1本は地面へとつなげられているのです。

この3本の配線を使って、どのように100Vだけでなく200Vの電圧も使えるようにするのでしょうか。

100Vコンセントの配線

まずは100Vコンセントの配線から見ていきましょう。

100Vコンセントの穴をよく見ると、少し大きくなっていることに気が付くでしょうか。じつは穴のどちらに配線をつなぐかは決められており、左側の穴には電圧がかかっていない「コールド」側の配線をつなぐように決まっています。一方右側の穴には残りの2本のうちの片方をつなぐことになっており、「ホット」側と呼ばれることも多くなっているのです。

ここで電気を流すのに重要となってくるのが「電位差」という概念。

電気は「かかる電圧の高い方から低い方へ」と流れるようになっています。このとき地面にかかる電圧を「0V」と考えると、地面につながるコールド側は常に0Vで安定しているのです。一方ホット側は電圧が常に変化しており、このとき「電圧の差」(電位差)が最大で100V。すると電流が流れることにつながります。

200Vコンセントの配線

一方200Vコンセントでは先ほどの「コールド」側の配線を使わず、両方とも-100~+100Vの電圧がかかる配線を利用します。

ここでポイントとなるのが、この2本の配線は同じ「電圧が周期的に変化する配線」ではあるものの、その波の山が半周期ずれていることです。簡単にいうと、片方の配線が「+100V」の電圧を示すとき、もう片方の配線では「-100V」を示し、「-100V」ならば「+100V」の波が来る仕組み。この差を取れば、周期的に200Vの電圧を取れるのです。

なぜ直接200Vを供給しないの?

ここで疑問に思うのが「なぜ200Vと0Vの組み合わせで供給しないのか」という点ではないでしょうか。確かに直接200Vを供給する方がシンプルに見えるかもしれませんが、高い電圧を供給するときには「感電」という危険が伴うのがその理由です。

感電というのは電圧がかかった部分に触れ、地面との間に人体を通じて電流が流れることで生じます。もしも200Vの電圧を直接供給していたら、感電した際には「200V」に相当する電流が流れることになるのです。

しかし単相三線式の200V供給では、地面との電圧の差(電位差)は最大でも100Vです。そのため万が一感電したとしても100Vに相当する電流、つまり200Vの半分の電流が流れるだけで済みます。

もちろん感電には大きなリスクがあります。現に人体に0.01Aの電流が流れるだけでも死亡するおそれがあるのです。しかし電流の大きさが小さいぶん、リスクを小さくすることにはつながります。

200Vコンセントのほとんどがアース付きな理由

200Vのコンセントの特徴として、アース極がついたコンセントやアース端子が併設されていることが多い点が挙げられます。

現在の内線規程(電気配線工事の安全性を決める規則)では、200Vコンセントにはアースを同時に接続することが原則義務化となっています。もちろんエアコン設置など、コンセントをつなぐだけであっても例外ではありません。

たとえば家電量販店などでの購入価格に含まれる「標準工事」。エアコン専用コンセント確保とともにアース工事をすることが条件となっています。

大電流が流れるため、安全確保が必要

200Vという電圧である程度カバーするとはいえ、200Vを使用する機器には通常の電化製品と比べるとはるかに大きい電流が流れています。そうした機器が漏電を起こし、さらに感電事故につながってしまえば高い危険性があることはいうまでもありません。そのため200Vコンセントではアース接続が義務化され、安全確保が求められているのではないでしょうか。

加えてエアコンは冷房時本体内部で結露するだけでなく、室外機も雨にさらされるなど意外と水気の多い環境で使われるという事情も。

現在アースがない場合でも設置を検討しよう

日本では通常の供給電圧が100Vと世界の中でも低いこともあり、アースが設置されていないコンセントも多いです。また200Vコンセントであっても内線規程で義務化する前の工事ではあれば、アース端子が設置されていないようなことも少なくないでしょう。

しかし感電によるリスクを考えれば、大電流を使う200V機器にはアース線をつなぐことが安全といえます。

【参考】三相200Vのコンセントについて

200Vのコンセントにはもうひとつ、三相200Vと呼ばれるものが存在します。産業用の電気供給に使われることが多く、単相三線式の普及により今の住宅では見られなくなってきましたが、こちらのコンセントについても触れておきましょう。

三相200Vの仕組み

三相200Vは200Vの電圧がかかる配線2本、そして電圧がかからない配線1本の計3本すべてに接続します。ここでポイントとなるのが、電圧がかかる2本の間の電圧差も200Vになるよう調整されている点。この3つを三角形状に配線することで200Vの電圧を取り出すことができるのです。

そのためコンセントの穴は3つ、もしくはアースと合わせて計4つ並んだ形となっています。また高電圧を扱うため、抜行けにくくなるよう穴の位置が同心円状に並べられたタイプもあります。

どういった機器に使われるのか

三相200Vのコンセントの特徴は「200Vの電圧を規則的に、3つずつ取り出せる」という点。これを順々に並べれば少ない電流でもモーターを動かすことができるのです。また発電所で発電される電気も同じように3つの波に分かれており、大電力を使う工場などではこの流れをそのまま使う方が、変換のロスが少ないといった事情もあるようです。

コンセントには特殊仕様もある

まとめ

エアコンでは200Vコンセントを使うことが少なくなってきたものの、IHコンロや電気温水器など200Vを使う大電流機器は少なくありません。現在の多くの住宅では単相三線式で引き込まれていることもあり工事は比較的簡単に済みますが、作業には電気工事士資格が必要となるためプロに依頼するようにしましょう。

また現在、200V機器の接続時にはアースが必須となっています。いま設置されている200Vコンセントやエアコン用コンセントにアース端子がない場合、いざというときに困らないよう、アース工事の実施を検討しておきましょう。

コンセント工事を依頼できる業者や料金

依頼できる業者や料金について、詳しくは「生活110番」の「コンセント工事」をご覧ください。

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