分電盤は住宅の電気の見守り役!役割・ブレーカー落ち対処法も解説
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「分電盤を設置してから10年以上が経過している」「ブレーカーが頻繁に落ちる」これらに当てはまる方は、分電盤の交換を検討したほうがよいかもしれません。なぜなら分電盤の不具合は、漏電や火災などの命に関わる事故を招きかねないからです。
このコラムは、専門知識をもっていない方でも分電盤の役割や構造を理解するために作られています。そのため分電盤の交換に不安のある方は、ぜひ参考にしてみてください。きっと分電盤に関する知識と、交換に役立つ情報が見つかるでしょう。
分電盤と配電盤の違いを知ろう
家屋の購入やアパートメントの契約の際に、「分電盤」や「配電盤」という言葉を聞いたことがある方は多いのではないでしょうか。こうした設備は、私たちが電気を使うために非常に重要な役割を担っています。似た名前ではありますが、それぞれ違う役割を担っている設備のため、その違いをしっかりと知っておきましょう。
分電盤の役割
分電盤は、電線や配電盤から振り分けられた電気をさらに細かく分配していくための装置です。さまざまな機能を有していますが、その目的は安全に・安定して電力をコンセントや電気の必要な設備に届けることだといえます。
配電盤の役割
配電盤は分電盤と異なり、設置されている施設とされていない設備があります。なぜなら高すぎる電圧を、扱える程度に変圧する際に必要な装置だからです。電気は、電圧が高くなればなるほど抵抗による損失を少なくすることができます。この性質を利用して電気を輸送されるのが、多くの電力を必要とする大型施設です。
分電盤の内部を詳しく!ブレーカー落ちの対処法も解説
分電盤の内部には、住宅で電気を安全に使うための機能がたくさん搭載されています。そこでこの章では、分電盤の中にある「ブレーカー」について詳しくみていきましょう。また、ブレーカーが落ちたときの対処法もそれぞれ解説します。
【1】アンペアブレーカー
アンペアブレーカーは、分電盤で管理している範囲の消費電力が規定を上回ったときに電気の供給を止める役割をもちます。規定される電力は契約によって調整でき、それによってブレーカーの色が変わることが特徴です。
アンペアブレーカーは、消費電力が大きいことが原因で落ち、分電盤で管理している範囲すべての電力が止められます。そのため落ちた際には、使っていない家電の電源を切ってから再度ブレーカーを上げましょう。
【2】安全ブレーカー
安全ブレーカーは複数設置されていて、それぞれのブレーカーが別の回路を担当しており、その箇所で電流が一定以上流れないように管理しています。安全ブレーカーが落ちた場合は、そのブレーカーが担当していた範囲が停電します。そのため、その範囲で不要な家電の電源を切ってから再度ブレーカーを上げましょう。
【3】漏電ブレーカー
漏電ブレーカーは、その名のとおり漏電の防止やチェックの役割を担うブレーカーです。漏電ブレーカーが落ちたときは、アンペアブレーカーと同様に分電盤で管理している範囲すべての電力が止まります。
もしこのブレーカーが落ちたら、どこかで漏電が起こっている可能性が高いです。放置しておくと火災などが起こるリスクがあるため、早急に業者に連絡するようにしましょう。
頻繁にブレーカーが落ちるなら対策をしましょう
分電盤の中にあるブレーカーが頻繁に落ちると、その度に電力が止まってしまうため、生活を送るうえで非常に不便な思いをすることになるでしょう。そのため、ブレーカーが落ちてしまわないように対策を施すことが大切になってきます。
1.電気製品の同時使用を減らす
アンペアブレーカーや安全ブレーカーが頻繁に落ちる原因は、「瞬間的な消費電力量が大きい」ことです。そのため、複数の電気製品を同時に使うことを避けるようにしましょう。また稼働している家電が少なくても、それらが大量の電力を必要とするのであれば、ブレーカーを落としてしまう可能性があります。そのため以下の家電を使う際は、たとえ稼働している家電が少なくても注意が必要です。
・オーブン
・炊飯器
・乾燥機
・ドライヤー
・掃除機
・電気ストーブ
・エアコン
2.契約アンペア数を見直す
同時に使う家電の数を減らしても、契約アンペア数が合っていない場合は頻繁にブレーカーが落ちてしまいます。そうした場合には、今の生活スタイルに合ったアンペア数になるように契約を見直すとよいでしょう。
ただし、契約アンペア数を変更する場合には工事が必要になります。そのため、賃貸物件であれば事前に管理している方に許可を取るようにしてください。
【注意】分電盤の工事ができるのは有資格者だけ!
分電盤の工事ができるのは、電気工事士の資格をもっている人だけです。そのため、工事を業者に依頼する際には、その業者が電気工事士の資格をもっているかどうかを必ず確認しましょう。
分電盤にも寿命がある!交換するべき症状・費用
分電盤は、電気を管理するために欠かすことのできない設備です。しかし分電盤自体も家電と同じように寿命があるため、私たちがしっかりと管理をしてあげなければなりません。不具合のある分電盤を使い続けることは大きなリスクを伴うため、分電盤の交換についても知っておくとよいでしょう。
こんな症状が出たら早めの交換を!
分電盤の寿命は、一般的に10年前後であるといわれています。そのため、設置してから10年が経過しているものは交換を検討してもよいでしょう。また、10年が経過していない場合でも、以下のような症状が見られる場合は交換することをおすすめします。
・部屋の明かりがたまに消える
・テレビ画面がよく乱れる
・分電盤が熱をもっている
・なぜか電気代が上がった
・分電盤から音がする
分電盤の交換にかかる費用
分電盤の交換は、先述の通り電気工事士の資格をもった人しかおこなうことができません。そのため、分電盤の交換を決めたら業者に依頼するようにしましょう。費用相場は50,000円前後ですが、取り換える分電盤の種類や出張費などによって費用は変動します。そのため、あらかじめ見積りをとったうえで業者を選ぶとよいでしょう。
近年の分電盤は多種多様
近年は技術の発達が著しいため、分電盤も家電と同じように年々グレードアップしています。そのため、長く使う分電盤を交換するのであれば、便利な機能のついたものを選ぶことがおすすめです。
具体的には、消費電力量を数値で確認できるものや漏電をいち早く見つけるもの、地震を察知して電力供給を止めるものなどが挙げられます。ほかにも様々な種類の分電盤があるので、自分の生活スタイルに合うものを探してみてはいかがでしょうか。
まとめ
分電盤は、電線や配電盤から供給された電力を管理して安全に家庭に届けるための設備です。その内部は複数のブレーカーによって構成されていて、それぞれ電力量を管理したり漏電を検知したりといった役割を担っています。
そうしたブレーカーは、それぞれ落ちる原因が異なるため、正しい対処のしかたを覚えておきましょう。また、漏電のおそれがある場合や分電盤の工事が必要な場合には、個人で対処することができません。
そのため、分電盤の挙動に不安を覚えたら業者に連絡するようにしてください。新しい分電盤に交換する際にも、電気工事のプロである業者なら、あなたの生活スタイルに合った契約アンベア数や分電盤の種類についての情報を提供してくれるでしょう。