これはノロウイルス?インフルエンザ?症状の違いで見分けよう
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冬に流行するウイルス性の病気の代表例はインフルエンザでしょう。感染力が強いウイルスのため、発症すると一定期間が過ぎるまで学校へ行くことは法律により禁止されています。また必要な場合学級閉鎖などの処置が取られることがあります。職場の場合は判断が分かれるでしょうが、出勤停止とする会社も少なくありません。
一方、ノロウイルスは一年を通じて感染する可能性はありますが、こちらもやはり冬にピークを迎えます。しかし、インフルエンザと違い法律で登校が禁止させることはありません。この違いは一体何なのでしょうか?
今回はノロウイルスとインフルエンザの違いについて、さまざまな観点から見ていきたいと思います。
目次
ノロウイルスとインフルエンザの症状
ノロウイルスとインフルエンザは両方ともウイルス性の病気ですが、症状には違いがあります。もちろん個人差があり、似たような症状を示す場合もありますが、どちらの病気であるかの判断はつけやすいとされています。
ノロウイルスの症状
ノロウイルスに感染することで生まれる症状は「ウイルス性胃腸炎」に分類されることが多いです。一般には「胃腸かぜ」「嘔吐下痢症」などとも呼ばれます。これはノロウイルスの増殖場所が腸の中であることも関係しており、消化器系の症状を示すと考えてよいでしょう。
もちろんノロウイルス以外にも胃や腸に感染し症状を起こすウイルスは存在します。
消化器系の症状として多いのは吐き気やおう吐、下痢、腹痛といったものです。ただ、軽い風邪のような症状で収まる場合もあります。1日から2日でこうした症状が収まることは多く、後遺症についてはないとされています。
インフルエンザの症状
インフルエンザは主に呼吸器系の粘膜に感染して増殖するウイルスです。そのためかぜの症状でもある、のどの痛み、鼻水、咳など呼吸器系の炎症にともなう症状が出てきます。それに加え、全身に痛みなどの症状が出てくるのがインフルエンザの大きな特徴です。
全身の症状としては38度以上の発熱、頭痛、関節痛、体のだるさといったものです。またインフルエンザウイルスが脳に侵入すると脳炎を起こすとされ、他にも肺炎などの合併症を引き起こす可能性があるとされます。こういった合併症は後遺症を残す可能性もあるため、とくに子どもや高齢者、免疫力の低下している人はインフルエンザに気を付ける必要があるでしょう。
なお、発生が懸念されている高病原性の新型インフルエンザは粘膜だけでなく、どの細胞とでも結合し増殖できるとされるため、重症化につながると警戒されています。
潜伏期間とウイルスを保有する期間を比較してみよう
同じウイルスでもノロウイルスとインフルエンザウイルスの場合、潜伏期間や保有期間などには差が出てきます。
ノロウイルスの場合
ノロウイルスに感染してから症状が出るまでの潜伏期間は24時間から48時間といわれています。一方、ウイルスは体の中に長くとどまり、1週間から、長い場合で1ヶ月ほどにわたって体の外に出続ける場合もあります。
インフルエンザの場合
インフルエンザの潜伏期間は24時間から72時間といわれ、この点ではノロウイルスとあまり差はないように思えます。しかし、ウイルスが体の中にとどまる期間は短く、熱が下がってから2日ほどで体から出なくなるといわれています。そのため症状が出始めてから5日ほどが保有期間の目安になり、学校の出席停止措置もこれを基準に決められています。
ただ、どちらのウイルスも、感染による症状が出ない場合が少なくありません。症状は出ていなくても感染はしているという場合も多いので注意する必要はあるでしょう。
感染経路に違いはある?インフルエンザとノロウイルス
ノロウイルスとインフルエンザは共通する感染経路がありますが、全く違った感染経路をとることも少なくありません。
ノロウイルスの感染経路
ノロウイルスはウイルスが消化器に入ることで感染します。そのため、食品を通しての感染がとくに多いとされています。そのためノロウイルスは食中毒の一つの原因ともされるのです。
牡蠣などの二枚貝はノロウイルスを蓄積しやすく、生食すると生きたままノロウイルスが体内に入ります。また手などに付着したノロウイルスが加工の過程で食品に付着し、口の中に入ってしまうことも少なくありません。ノロウイルスは少ない数でも生き残りやすく、感染力が高いとされています。
また、咳などで唾液のしぶきが飛び感染するケース、消毒不十分な水に入っていて感染するケースもあります。いずれも共通するのは「口を通して消化器へと入ってくる」ことです。
ノロウイルスによる食中毒については「牡蠣がノロウイルスを持っているのはなぜ?生で食べるのは危険なの? 」の記事もあわせてご参照ください。
インフルエンザの感染経路
インフルエンザの感染は咳によって唾液のしぶきが飛び、それが口へと入ってくる場合が大半です。唾液などを通じて侵入したウイルスは呼吸器へと入り、粘膜で増殖して症状を引き起こします。
そのため共通していえるのは手洗いを徹底することでしょう。加えてノロウイルスは付着した箇所の消毒、インフルエンザはうがいなどが予防に必要になってきます。
ノロウイルスとインフルエンザW感染してしまう可能性も?気を付けるべきこと
同じ冬に感染のピークを迎えるノロウイルスとインフルエンザですが、一度に両方の症状が出てくることはあるのでしょうか?
ノロウイルスの人工的な増殖方法が現在見つかっていないこともあり、こういった研究はあまり進んでいないのが現状です。ただ、一般的には「同時に感染する可能性はあるが、症状が同時に出ることは少ない」とみられています。
これは「ウイルスの干渉現象」があるからです。ウイルスは細胞の中に侵入して増殖を行います。これは遺伝子情報に干渉して行うため、1つの細胞で増殖できるウイルスは1つだけと考えられています。そのため複数のウイルスが侵入してもどれかが優勢になるため、増殖しにくい他のウイルスの症状は出にくいという考え方です。
一方、インフルエンザは呼吸器系の粘膜、ノロウイルスは腸管のなかで増殖します。そのため別の箇所に感染する以上、増殖も両方起こるという考え方もできます。
いずれにしても、症状が起こるということは体に負担をかけます。とくに脱水症状はノロウイルスによる胃腸炎、インフルエンザのどちらでも起こります。そのため並行して感染すると重症化しやすいと考えられるでしょう。また、症状が収まった直後は体の免疫力が弱まっているため、別の病気を起こしやすい状態です。治ってもしばらくは無理をしない生活が大切になってくるでしょう。
まとめ
同じ冬に流行するウイルス性の病気でも、ノロウイルスとインフルエンザの症状は大きく異なる場合が多いです。ただ、どちらも口からウイルスが侵入するため、とくに手洗い・うがいは感染防止に効果があるといえるでしょう。冬を健康なままで乗り切るため、対策をしっかり行うことが大切です。
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※「感染症法に基づく消毒・滅菌の手引き」(厚生労働省)参照