ノロウイルス消毒液は簡単に作れる?家庭にあるもので消毒する方法
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これからやってくる冬は、乾燥するためウイルスによる病気が流行しやすい季節です。とくにノロウイルスは感染力が高く、一度誰かが感染してしまうと急速に広がりやすいとされています。ただ空気中では増殖しないため、「体の中に入れないようにする対策」が必要になってくるでしょう。そのために消毒することは有効な手段の1つです。
今回はノロウイルスの消毒による対策について、ノロウイルス消毒液の作り方を紹介しつつ考えていきます。
目次
考えられるノロウイルスの感染経路をおさらい!
ノロウイルスによる食中毒の危険性は皆さんも熟知していることでしょうが、改めてノロウイルスの感染経路についてケース別に見ていきましょう。
貝類、とくに牡蠣の生食による感染
貝類は主に水中のプランクトンを取り込んで栄養としています。そのため下水中に含まれるノロウイルスも一緒に取り込み、蓄積するのです。このノロウイルスが蓄積された貝類を十分に加熱せずに食べることで、人へ感染します。とくに牡蠣は生食で食べる文化があり、ノロウイルスに汚染された牡蠣の危険性が問題になりました。
貝類からの感染を防ぐための方法は、十分に加熱してから食べることです。生食用の牡蠣はノロウイルスを取り込まないよう管理されているものの、こちらも完全ではありません。そのため感染を防ぎたい場合には避けたほうが無難といわれています。
牡蠣など貝類からのノロウイルス感染については「牡蠣がノロウイルスを持っているのはなぜ?生で食べるのは危険なの? 」でも解説しています。あわせてご覧ください。
感染者による調理
十分に手を洗わずに調理するなど、ノロウイルスの感染者が不十分な衛生管理の上で調理を行うとノロウイルスが食品を汚染し、感染源になります。
とくに飲食店では大量に調理し、不特定多数の人々に料理を提供します。そのため調理者が感染していると大規模なノロウイルスによる食中毒へ発展しやすくなります。しかもノロウイルスはごく微量でも感染しやすいとされており、徹底した対策が必要となるでしょう。
対策としてはまず、ノロウイルス感染者を食品加工に立ち会わせないことです。過去には症状が出ているのにも関わらず海苔の加工に携わり、大規模な感染につながったケースがありました。ただ、ノロウイルスにも数日の潜伏期間がありその期間の感染を防ぐことは困難です。また、症状にも個人差があり、風邪だと思い込む可能性もあるといいます。
そのため、手洗いの徹底や消毒の実施が重要になってきます。症状が治まってもノロウイルスの排出は数週間つづくことがあるため、回復しても直後は食品加工に立ち会わせないことが必要です。
感染者の汚物
ノロウイルスは人間の体で増殖しますが、そのなかでも腸の中で増殖しやすいと考えられています。そのため糞便や、腸を逆流してきた吐しゃ物はノロウイルスのかたまりと考えてよいでしょう。
これらを処理するときに手についたり、処理が不十分でノロウイルスが残っていたりすると新たな感染源となります。そのため汚物処理時は「触れないように処理する」「徹底して消毒する」といった対応が不可欠になります。
その他の感染
ドアノブやテーブルなども感染源のひとつです。これらの箇所にノロウイルスの付いた手が触れ、別の人が触れることで手や指が汚染されてしまいます。
また、井戸水や簡易水道などを中心に、十分な消毒がされていない水へノロウイルスが混じっていると感染源となるので注意が必要です。
アルコールは効かない?有効なノロウイルス消毒液の作り方
消毒といえば「アルコール」を思い浮かべる人が多いと思います。しかし、ノロウイルスには腸の中で増殖するため「エンベロープ」という膜がありません。そのため、この膜を壊すことで効果を発揮するアルコールによる消毒は効果がうすいと考えられてきました。研究が進みアルコールでも一定の効果があることが推定されているものの、ノロウイルス消毒の主流は「次亜塩素酸」によるものです。
現在はノロウイルス消毒用のスプレーが多く市販されています。しかし台所用の塩素系漂白剤にも次亜塩素酸ナトリウムが含まれていることが多く、この漂白剤を消毒液にすることができます。ただしこれらの漂白剤は濃度が濃いため、消毒液としてはうすめて使います。
ドアノブの消毒など、予防的な消毒の場合200ppmの濃度に調整した消毒液を使います。台所用の漂白剤から作るにはおよそ200倍に薄める必要があります。ペットボトルのキャップ2杯(10ml)分の漂白剤を2リットルのペットボトルに入れ、水を満たすと近い濃度になるため推奨されています。
吐しゃ物が付着するなど、ノロウイルスが大量に存在するところへはこれより濃い1000ppmに調整したノロウイルス消毒液を用意します。漂白剤10mlに対して水0.5リットルの割合になるため、こちらは500mlのペットボトルを使うと作りやすいでしょう。
ノロウイルス消毒液を使うときの注意点
ノロウイルス消毒液を使う際ですが、使用にはさまざまな注意点があります。間違った使い方をすることで体に悪影響を与えたり、効果が出ないこともあります。ここでは注意点について見ていきます。
換気は十分に。作ったら使い切る
次亜塩素酸は酸性の洗剤と混ぜ合わせるときわめて有毒な塩素ガスが発生することは広く知られていますが、そのままの状態でも日光や温度、水道水中の成分などの影響で塩素ガスを発生しています。そのため消毒液を使う際には換気をしっかりして塩素ガスを吸い込まないことが大切です。
次亜塩素酸は自然に分解してしまうため、ノロウイルス消毒液を作ったら極力使い切ることが大切になります。ただ、日頃の備えとして準備しておきたい場合もあると思います。その際は日の当たらない場所へ保管しましょう。また、分解しにくいよう調合された次亜塩素酸入り消毒スプレーも市販されているため、常備用として購入するのも1つの手です。
使用は手袋着用で
強いアルカリ性の液体であるため、ウイルスだけでなく手の表面のたんぱく質も溶かしてしまいます。手荒れの原因になるため手袋を付けるなどの対策が必要です。もちろん、手や指の消毒に使ってはいけません。
色落ちなどに注意
漂白作用があるため、カーペットや衣服に使う場合は色落ちの危険性があることを理解しておきましょう。煮沸消毒、熱湯に浸す、スチームアイロンを当てるなどの代替策も有効ですが、ノロウイルスは比較的熱に強いためしっかりと熱を通すことが大切です。スチームアイロンの場合、1箇所あたり2分以上当てておく必要があります。
また、金属を腐食する作用もあるため、金属部分は避ける、金属部分に使った後はふき取るといった工夫も必要になります。
薄めすぎない
手荒れや色落ちなどが気になってしまい薄めてしまいたくなりますが、薄い消毒液には効果がないとされています。適切な濃度の消毒液を使うことが大切です。
次亜塩素酸による消毒液は手指の消毒には使えません。そのためノロウイルス消毒液に頼りすぎることなく、徹底した手洗いに心がける必要があります。また習慣としてのアルコール消毒は決して無駄なものではありませんし、アルコール消毒液の中にはウイルス不活性化に有効な成分を配合したものもあります。こうした製品を使用することも選択肢の1つでしょう。
ノロウイルス消毒液はどこに使用すると効果が出る?
ノロウイルス消毒液はウイルスを消毒するだけでなく、さまざまな弊害もあります。また、食品に触れるものに対して直接散布するのも避けたいものです。そのため予防として使用する際は適切な場所を選ぶことが望ましいでしょう。
そのためドアノブなど、手指の触れる場所の消毒に向いているといえます。もちろん金属製の場合は後からふき取るなどの処理が必要ですが、手指の接触による感染が広がりやすいところへ散布することで効果が期待できるでしょう。
まとめ
ノロウイルスは少しの数でも感染しやすく、予防には継続性と徹底した消毒が必要になります。とくに飲食店でノロウイルスによる食中毒が発生してしまうと、損害は小さくありません。そのため、常日頃から習慣づけることが大切になってくるでしょう。
業者による消毒を依頼する際は
依頼できる業者や料金について、詳しくは「生活110番」の「ノロウイルス消毒」をご覧ください。
感染予防のための消毒施工
一般的に感染症の予防・消毒においては、アルコール消毒、塩素系消毒剤(次亜塩素酸ナトリウム)や加熱処理(85℃で1分以上)は有効とされています。※
当社提携業者はこれらの方法を駆使して予防・消毒を実施いたします。
※「感染症法に基づく消毒・滅菌の手引き」(厚生労働省)参照