家庭のゴミが荒らされている光景を、見たことがある人は多いのではないでしょうか。カラスが家庭のゴミを荒らすことは日常茶飯事です。多くの自治体や管理する人の中で、ゴミにネットをかけるなど対策をしています。
しかし、対策をしてもカラスによる被害がなくならないときがありますよね。カラスはとても頭のよい動物ですが、その特徴や習性などを理解しておくと、対策することも可能なのです。
今回は、カラスの生態について取り上げ、カラスによる被害の対策のやり方についてご紹介していきます。
目次
『ハシブトガラス』の生態
カラスの中でも、街中で見かけるカラスの多くは『ハシブトガラス』と呼ばれるカラスです。ゴミ袋をあさって別のところに運んで食事をしている姿を見たことはないでしょうか。そんなハシブトガラスの生態は以下のようになっています。
・見た目:くちばしが太く、額にでっぱりがある。
・歩き方:『ホッピング』と呼ばれる歩き方で、跳ねながら移動する。
・性格:神経質。人間に対して威嚇することがある。
・生息地:街中や森の中。
・エサの食べ方:ゴミなどその場では食べずに、安全な場所へ運んでから食べる。
『ハシボソガラス』の生態
カラスの中でも、農業地区などに多く存在するのが『ハシボソガラス』と呼ばれるカラスです。ハシボソガラスの生態は以下のようになっています。
・見た目:くちばしが細く、額がなだらかになっている。
・歩き方:ウォーキングと呼ばれる歩き方で、人間のように地面に足をつけて歩く。
・性格:おだやかでマイペース。人間に対して威嚇することは少ない。
・生息地:草原や広い農地。
・エサの食べ方:ゴミなどをその場で食べる。
ハシブトとハシボソに共通する生態
ここまでで、ハシブトガラスとハシボソガラスの生態について見てきました。両者の生態には違いがありますが、共通する点もあるようです。
・見た目:黒い体で、50cmほどの体長。
・食性:雑食
・繁殖期:4月~7月
・寿命:10年~20年
・天敵:猛禽類
・巣づくり:皿状の大きさ。材料はビニール袋やハンガーなど人間が使うものも使用する。
ほかにも共通する生態があり、工夫次第ではカラス対策に役立てることができます。具体的に見ていきましょう。
頭がよい
カラスは頭のよい動物です。研究では犬より頭がよいとされています。知能指数がかなり高く、人間がかけた鍵を自力で開けることができるなどのエピソードを持っているのです。その知能で人間がゴミ袋にかけたネットをどけてゴミ袋をあさります。対策するならゴミの下にネットを包むようにしなければなりません。
この知能を逆手にとり、「ゴミ捨て場に近寄ってはいけない」などとカラスに学習させることが有効です。頻繁にカラスを追い払ったり、カカシやCDなど一時的に効果のあるものを試したりしましょう。
しかし、ずっと同じ場所に同じものを置いていると、そのうちにカラスが学習してしまいます。カカシやCDなどで追い払いたいときは同じ場所に置きっぱなしにせず、位置を変えるなどして対応するとよいです。
色を認識する
カラスは色彩感覚がとても優れており、人間よりもさまざまな色を認識しているといわれております。人間が認識できる3原色のほかに、紫外線も認識することができるのです。たとえば黒い袋に入ったゴミの中が見えるなど、その色彩感覚を活かしてゴミ袋の中から食べることができるものを選んでいます。
しかし色彩感覚に優れている反面、嗅覚は鈍いとされています。そのため、ゴミの中身を隠せばカラスに狙われる確率が低くなるでしょう。
集団で行動する
カラスは独自の伝達手段でカラス同士会話しているという説もあり、集団で行動することがあります。そのため、仲間と協力してゴミをあさることができます。カラスが騒いでいるときは餌を見つけた合図かもしれませんので、頻繁に鳴き声を聞くようであれば被害を受ける前に対策しましょう。
カラスのハンガー盗難対策で巣作りを防止しよう!
ベランダに掛けてあったはずのハンガーが少なくなったと感じたら、もしかしたらそれはカラスが盗んでいっているのかもしれません。3月~5月になると、カラスは巣作りのために色々な素材を集めだします。
そうすると、都心部などでは木の枝や木の破片が手に入りにくくなるため、ハンガーを使用して巣を作っているというから驚きです。ハンガーをカラスが持って飛んでいくときに、万が一電線に針金が接触すると停電が発生することもあります。
一度でもハンガーを盗まれてしまうと、繰り返し何度もやってくるようになるので防ぐのが難しくなるでしょう。ハンガーはカラスにとって、長さがちょうどよく、細くて軽いのでくちばしで簡単に持っていくことができます。
カラスが狙うのは針金ハンガーです。プラスチックハンガーやキャッチ式ハンガーなどしっかり固定できるタイプへ交換すると狙われなくなるでしょう。
カラスは飼える?
カラスは人になつきやすいという特徴を持っていますが、そんなカラスを飼うことはできるのでしょうか。カラスの生態自体知らない人も多く、あまりカラスを飼育している話は聞きません。ですが、実際にカラスを飼っている人もいるようです。
カラスは、「鳥獣保護法」を守った上で飼うことが許されています。カラスを保護する目的であれば、役所に相談すると短期間のあいだ飼育することが可能です。カラスがケガをしている場合、役所への申請で一定期間保護し、その後野生へ返すという手順を踏むことになります。
カラスはペットとして見かけることは少ないですが、大変なつきやすい動物です。保護する目的で短期間飼育しただけでも、野生からまた飼い主のもとへ帰ってくることがあるほどです。体長が50cm以上になるため、専用の鳥かごなどを用意する必要があるでしょう。
カラスにまつわる豆知識
カラスの生態についてお話してきましたが、それ以外にもカラスにまつわるさまざまな知識があります。その代表的なものを紹介するので、ご覧ください。
カラスの鳴き声の種類
カラスは鳴き声を使い分けて、仲間同士で会話をすることができます。ここではカラスが鳴き声で会話をする場合、どのように鳴き声を使い分けているのでしょうか。カラスは、種類によっても声質に違いはありますが、伝えたい内容によって、以下のように鳴き方が変わるようです。
・朝の縄張りの宣言:目立った場所でカツカツカツと鳴く
・威嚇:ガァガァガァといった、強い鳴き方
・仲間を呼び寄せるとき:カカカカカといった細かい鳴き方
・ねぐらから出かけるとき:仲間とはぐれないように、かぁ~かぁ~という語尾を伸ばす鳴き方
カラスはこのように状況に合わせてさまざまな鳴き方をして、コミュニケーションをとりながら生活をしているのですね。
夏は注意!カラスが狂暴化する理由
カラスの鳴き声にはさまざまなものがあり、それらを聞き分けることでカラスの状態を判断することができるかもしれません。
夏頃になると、「ガァガァ」という威嚇めいた鳴き声を出すことが増えてくるようです。その理由は、誕生したヒナを守るために気性が荒くなっているからだといわれています。カラスの生態のひとつとして、子煩悩といわれるほど子育てを大切にするところがあります。
そんな夏の時期にカラスに近づくのは、大変危険です。威嚇の鳴き声を出しているカラスは、巣に近づくと積極的に攻撃を仕掛けてきます。安全のためにも、カラスの巣やヒナには近づかないようにしましょう。
カラス除けになる、黄色いゴミ袋とは
カラスは黄色が嫌いなので、黄色いゴミ袋が有効という噂を知っている方は多いかもしれません。しかし、実際にはカラスは黄色が嫌いなわけでもなく、黄色が見えないわけでもないようです。ではなぜ、黄色いゴミ袋が有効なのでしょうか。
鳥目の細胞は、わたしたち人間とは異なった進化を遂げているため、紫外線を感じることができます。ですが紫外線をカットすると、そこに何があるのかがわからなくなってしまうのです。この特性を利用して、紫外線をカットする顔料が入った黄色いゴミ袋が作られました。
このゴミ袋を使うと、カラスはゴミ袋の中が見えなくなってしまうため、カラスがゴミを荒らすことがなくなりました。この効果によって、世間に「黄色いゴミ袋ならよい」という情報が流れてしまったのです。
そのため、ただ黄色いゴミ袋に入れただけではカラス被害を減らすことはできない可能性があるということ知っておきましょう。
実は神話や伝説にも登場する聖なる鳥
現代ではゴミを荒らす厄介者として知られているカラスですが、昔には聖なる鳥としてあがめられてきた歴史があるのです。
日本で特に有名なのは、八咫烏(やたがらす)という3本足のカラスではないでしょうか。日本神話において、神武天皇を大和国まで道案内したといわれている八咫烏は、導きの神として信仰の対象になっています。サッカー日本代表のユニフォームのエンブレムとしても使われているのは有名な話ですよね。
ほかにも、カラスの中にはワタリガラスという世界最大級のカラスがいます。このワタリガラスは、アメリカでは多くの先住民に創世神話の主人公として扱われています。また、北欧神話の中でも最高神オーディンの使神(みさきがみ)として、フギンとムニンという2匹のカラスが登場することで知られているのです。
まとめ
カラスが家庭のゴミを荒らす光景は日常茶飯事です。ゴミの内容によっては被害が大きい場合があります。カラスはとても頭がよいという特徴があるため、少しの防鳥対策では簡単に見破られてしまい、その被害は後を絶ちません。カラスの生態に注意して、家庭のゴミを捨てる際は荒らされないよう厳重に防鳥対策をする必要があります。
厳重といっても、防鳥用ネットを包み込むようにするなど、カラスの力が弱いという点を利用して工夫して対策をすれば被害を抑えられそうです。また高い学習能力を利用して、頻繁に追い払い威嚇するなど、その場所がカラスにとって危険な場所だと学習させる方法もよさそうです。
頻繁におこなうことが難しい場合や、カラスによる被害がなくならないときはカラス駆除業者に依頼してみましょう。
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