【コウモリ雑学】空飛ぶネズミ?コウモリの進化のヒミツを解説します

2021.4.30

【コウモリ雑学】空飛ぶネズミ?コウモリの進化のヒミツを解説します

夕暮れ時になるとどこからともなく現れては、住宅街の空を飛ぶ小さな影。普段生活しているとなかなか見かけることはありませんが、よくよく探してみるとそこかしこでコウモリの姿を見つけることができます。

吸血鬼のイメージから、怖い印象をもたれがちなコウモリですが、「空を飛べる」や「超音波を出す」などほかの動物にはない特徴がいくつもあり、独特で面白い進化をたどってきたことがわかります。

本コラムでは、そんな知られざるコウモリの進化にメスを入れ、コウモリにまつわるユニークな雑学を、幅広くご紹介していきます。

コウモリの進化――哺乳類で唯一空を飛べる理由

コウモリは別名『飛鼠(ひそ、飛ぶネズミの意)』とも呼ばれる、ほ乳類で唯一完全な飛行能力をもった動物です。パラグライダーのように高いところから滑空する動物は、ムササビをはじめとしていくつか存在しますが、自分の翼で地上から空中へと飛び上がれる動物はほ乳類の中ではコウモリただ一種のみです。

『滑空』と『飛行』には文字通り天と地ほどの差があります。滑空は高い場所から低い場所への移動しかできませんが、飛行は低い場所から高い場所への移動も可能です。鳥のようにはばたいて上昇や下降も思うがままの高度な飛行能力は、コウモリだけがもつ特殊な翼によって実現されています。

コウモリの翼はいつできる?

コウモリの翼は、同じはばたきで空を飛ぶ鳥の翼とはまったくの別モノです。鳥の翼が羽毛で覆われた筋肉の塊であるのに対し、コウモリの翼は『骨』と『膜』でできています。

ちょうど傘を思い浮かべてもらうとイメージしやすいかと思います。コウモリの翼は細い骨の間に『飛膜(ひまく)』という水かきのような薄い膜が張っているような構造をしています。一般的な洋傘のことを古い呼び方で『コウモリ傘』といいますが、これは広げたかたちがコウモリの翼と飛膜の関係にそっくりだからです。

コウモリはこの飛膜で空気をたたいて、水かきで水をかくように空気中を泳ぎます。ほとんどのコウモリは生まれた直後の赤ちゃんの頃から翼と翼膜を備えているので、母コウモリのおなかの中で翼が形づくられることになります。

コウモリが進化で翼を獲得するに至った経緯はさまざまな説が唱えられていますが、恐竜が絶滅したおかげで空中が安全になり、ほ乳類の中にも空への進出を試みた者がいたというのが有力な説です。

コウモリの先祖は現在化石が発見されているかぎりではみな翼をもっており、かなり古い時代から飛行するほ乳類として活動していたことがうかがえます。

とっても軽い体重

空を飛ぶ生き物全般にいえることですが、コウモリもまた非常に体重が軽いという特徴をもっています。日本でもっとも多く見かける小型の『アブラコウモリ』は、実に10g程度の体重しかありません。

コウモリは体重を極端に軽くすることで、翼による飛行を可能としています。翼を広げたときの全長は30㎝程度になりますが、このサイズの生き物の体重が10gしかないと聞くと、いかに軽い生き物か想像できるのではないでしょうか。
コウモリの進化――哺乳類で唯一空を飛べる理由

コウモリの進化――逆さまでぶら下がれる足

コウモリは体重を軽くするために筋肉のほとんどを翼につけているため、足の力が非常に弱い生き物です。足が弱すぎてほかの動物のように自分の体重を支えられず、歩くこともできないためむりやり地上に降ろすとはいずることしかできなくなってしまいます。

コウモリのイメージとして有名なのが、『逆さにぶら下がっている姿』ですが、これは弱い足腰をカバーするためのコウモリの進化の一つといえるわけです。コウモリは空を飛ぶときを除いて一生のほとんどを逆さ吊りになって過ごしています。食事のときや寝るときも、天井や木の枝にぶら下がっています。

身体に対して重い翼は役に立つ?

鳥などほかの生き物の翼に比べて、コウモリの翼は体重に占める重量の割合が非常に大きいとされています。この翼の重量も、コウモリが生きていくうえで重要な役割をもっています。

コウモリは逆さ吊りになって生活していますが、飛行するときは姿勢が逆転して頭を上にします。そして休憩や食事などでどこかに止まるときは再び頭を下にして逆さ吊りになります。

このとき翼の重量があるおかげで、止まる場所に掴まった瞬間クルっと体を反転させて安定した逆さ吊りの姿勢をとることができます。いわば翼は飛行に必要な器官であるのと同時に、逆さ吊り姿勢を安定させるための重り、バランサーの役割も果たしているわけです。
コウモリの進化――逆さまでぶら下がれる足

暗闇で飛び回れるのはどうして?コウモリの進化

目は見えるの?

コウモリのユニークな特徴は他にもあります。コウモリはほとんどの種類が夜行性であるため、活発に空を飛ぶ時間帯は基本的に夜です。住宅街では街頭という光源がありますが、森や山の中では月明かりだけしか頼れるものがありません。

ではコウモリはものすごく夜目がきくとか、暗視カメラのような特殊な目をしているかというと、そうではありません。むしろコウモリは視力が弱い生き物です。コウモリは視力の代わりに、嗅覚と聴覚を発達させて周囲の状況を把握しているのです。

エコーロケーションって

コウモリは発達した聴覚で周囲の音を聞くと同時に、自分からも音を発することで周囲からの音の跳ね返りを聞き取り、障害物の位置を把握する能力をもっています。

この特殊な能力は、『反響定位(エコーロケーション)』といい、ほ乳類のなかではコウモリとクジラの仲間ぐらいしかもっていない非常にレアな能力です。

エコーロケーションに使われる音は人間の耳には聞こえない超音波なので、コウモリが飛んでいてもそこかしこでうるさく鳴き声を立てることはありません。コウモリはこの能力をつかって障害物を回避したり、エサとなる虫の居場所を探ることができます。

とある実験結果では、目に見えない細さの針金を張り巡らせた部屋にコウモリを放しても、針金に一切引っ掛かることなく飛び回ることができたといいます。この探知能力をマネしてつくられたのが、ライトの届かない海の底で活動する潜水艦のソナーや、漁船が魚の群れを探す魚群探知機です。

人間が精度の高いセンサーと精密なコンピューターを使ってようやく避けられる障害物を、コウモリはスイスイ躱して暗闇を飛んでいきます。この高度な探知能力のおかげで、天敵の少ない夜間の行動が可能になっているのです。これもまた、コウモリの進化の一つといえます。
暗闇で飛び回れるのはどうして?コウモリの進化

コロニーとは

コウモリは大規模な群れをつくることでも有名です。たくさんのコウモリが身を寄せ合って形成する群れを『コロニー』と呼び、数十匹からときには数百匹にもなる巨大なコロニーをつくることもあります。

コロニーは外敵から身を守ることに役立つほか、ニホンウサギコウモリという種類のコウモリは、出産した子供をコロニー全体で世話をすることが知られています。こうした『出産保育コロニー』のシステムによって子育てにかかる母親の労力が減り、早いペースで次の子供を産むことができるため、コウモリは短期間で数を増やしやすい動物とされています。

◆箸休めコラム:イソップ童話に見るコウモリの立ち位置

ほ乳類でありながら翼をもち空を飛ぶというコウモリの二面性は、しばしば物語のモチーフとして使われてきました。有名なものに、『卑怯なコウモリ』というイソップ童話があります。

このお話では仲の悪い獣(ほ乳類)と鳥との間で板挟みになったコウモリが、獣には「自分はネズミなので獣の仲間です」といい、一方で鳥には「自分は翼があるので鳥の仲間です」といって両者に取り入るコウモリの姿が描かれています。

最終的に獣と鳥とは仲直りをしたものの、コウモリは獣と鳥両方から裏切り者扱いを受けてしまい、誰もいない夜にしか飛べなくなってしまったというオチが待っています。

この童話は「都合よく立場をコロコロ変えているとそのうち誰からも信用されなくなってしまう」という教訓を含んだお話です。転じて、対立した二勢力のうち有利な方に加勢しておきながら、形勢が逆転すると即座に裏切るような人のことを「コウモリ野郎」と呼んだりもします。

他人に対して誠実であれ、ということは教育上とても大切なことですが、実はイソップ童話の原典にはまだ続きがあります。コウモリのように状況に合わせて立場を変えることは、絶対絶命の危機から生き残ることにもつながる、という内容です。

原典は古い話なので現代風に訳すなら、『最初の立場にこだわらず臨機応変に立ち回れ』とか『沈むと決まった泥船にいつまでも乗るな』といった教訓になります。

こうした教訓の移り変わりを見ると、昔の人がコウモリに対してどんな印象をもっていたのか少しだけわかって興味深いのではないでしょうか。
暗闇で飛び回れるのはどうして?コウモリの進化

コウモリは寒いのが苦手?一日だけの冬眠もできる

冬になるとコウモリを見ることはほとんどなくなります。体の小さな生き物は内部に熱をため込みにくいため、気温の低下に弱いというのが一般的です。

コウモリもその例に漏れず、また体の小ささに対して大きな翼からも体温が発散してしまいます。エサとなる昆虫の減少もあいまって、寒い時期に活動することはまずありません。

コウモリたちはコロニーで身を寄せ合って寒さをしのぎつつ、春まで冬眠に入ることがほとんどだといわれています。例外的に都市部に住んでいるコウモリは、暖房の影響で暖かい場所が多いため冬眠せずに冬を越すものがいるようです。

またコウモリは眠っている間体温を冬眠時と同じ程度にまで下げることが可能とされています。眠っている間のエネルギーの消費を抑えつつも、完全な冬眠には入らない「一日だけの冬眠」です。こうした体力節約の工夫もまた、飛行で大量のエネルギーを消費するコウモリ独自の進化の一つとされています。
コウモリは寒いのが苦手?一日だけの冬眠もできる

コウモリは嫌われ者?駆除する必要はあるのか

コウモリといえば血を吸うために家畜や人を襲うといったイメージがありますが、吸血性のものはコウモリ全体のなかではごく一部にすぎません。日本に生息しているコウモリのほとんどは、木の実や昆虫を主食とするおとなしい生き物であり、ネズミのように人間の食べ物を食害することもありません。

しかし、コウモリ自体が人を襲うことはないものの、コウモリが住み着いてしまった家では別のトラブルが起きることがあります。コウモリの害としてもっとも代表的なものが、『糞害』です。

糞害の怖さ

コウモリの糞が問題になる理由は、まずその量が非常に多いためです。コウモリは進化の過程で体重を軽く保つために、大腸が短く頻繁に糞を出すようになっています。一か所に身を寄せ合うというコウモリの習性も相まって、コウモリの住み着いた場所にはあっという間に糞の山ができあがってしまいます。

コウモリの糞は下水のような強い臭気を発するので、大量の糞から悪臭が放たれることとなり、これを嗅ぎ付けたハエやゴキブリを呼び込むことにもつながりかねません。

またコウモリの糞は雑菌や寄生虫の温床となります。とくに狂犬病をはじめとした重大な病原菌の感染源となる可能性があり、床に溜まった糞にペットや小さなお子様が触ってしまうと非常に危険です。

乾燥した糞の粉末が舞い上がると、直接触れなくても吸い込んでしまうこともあり、コウモリの糞を発見したら早急に消毒と洗浄を行わなければなりません。

こうした危険性から、コウモリが家に住み着いてしまった場合は駆除を行う必要があります。しかし、野生のコウモリは鳥獣保護法の保護下にあるため、個人でコウモリを退治することは違法行為になる可能性があります。

法規制の関係上コウモリの駆除は非常に困難になるので、できるかぎりコウモリが家に住み着くこと自体を防ぐような対策が必要になります。また、どうしてもコウモリに住み着かれてしまった場合は、コウモリ駆除の専門家に相談することも手段の一つとして考えておきましょう。

まとめ

ふだん日の目を浴びないコウモリたちのユニークな特徴をここまでご紹介してきました。コウモリは化石の時代から姿かたちがあまり変わらないことから、生き物としての一つの完成形ともいわれています。

空を自在に飛び回り、暗闇でも超音波を使って障害物やエサを見分けるコウモリの進化は、いわれてみると確かに便利で合理的なもののようにも思えます。

あまりいいイメージをもたれないコウモリですが、明日から使える雑学として、ぜひその生態を観察してみてください。コウモリの駆除は、特別な許可を得ている人間しか行うことができないため、コウモリ駆除のプロにまかせるのが適切ではないでしょうか。

コウモリ駆除を依頼できる業者や料金

依頼できる業者や料金について、詳しくは「生活110番」の「コウモリ駆除」をご覧ください。

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