家の周りを囲うブロック塀は、普段プライバシーの確保、不審者の侵入防止など多くの役割を担っています。しかし、一つ間違うとブロック塀は人の命を奪ってしまうものになってしまうかもしれません。この原因の一つが、耐震基準を満たしていないブロック塀です。
現在、ブロック塀は建築基準法の改正により、地震で倒壊しないような造りが推奨されています。このコラムでは、ブロック塀の基準や補強工事の費用についてご説明していきます。
目次
【1971年施工】ブロック塀に関する建築基準法の改正内容
日本では、歴史上大きな地震を経験してきています。その際、家屋の倒壊を含め、ブロック塀の倒壊にも注目がおかれました。そのため、1950年に施工された建築基準法にもブロック塀に関する規定が定められていました。
しかし、1968年に起きた十勝沖地震において、ブロック塀の下敷きになったという被害が多発したため、1971年にブロック塀は建築基準法の改正により、新たな規定が設けられました。その際に定められた一例が以下のようになります。
組積造の塀に関する改正事項
組積造の塀は高さの制限を3m以下から2m以下に改正しました。さらに基礎の根入れ部分の深さも20㎝以上に定めることで、基礎と地盤のつながりをより強固なものにしました。ブロック塀の高さがあり、根入りも不十分であると、倒壊を防止することができないと判断したのでしょう。
補強コンクリートブロック造の塀に関する新たな制定事項
1950年に制定されたときには、補強コンクリートブロックについては定められていませんでした。しかし1968年の十勝沖地震では、補強コンクリート造の塀の多くも倒壊するという危険性があることがわかりました。
そのため、1971年に、補強コンクリート造の塀に関しての規定も設けて、建築基準法の改正がおこなわれました。その規定は、高さが3m以下、厚みが15㎝以上の塀であることが定められ、2m以下であれば10㎝以上でなければならないとしました。
さらに、ブロック塀を補強するために内部には9mm以下の鉄筋を縦横に設置し、基礎の高さは35㎝以上、根入りの深さも30cm以上と、より安全性に特化したブロック塀にするために新な規定が設けられました。
【1981年施工】ブロック塀に関する建築基準法の改正内容
建築基準法が改正されたにもかかわらず、1978年に起きた宮城沖地震でもブロック塀の倒壊による被害が多く報告されました。そのため、1981年に新たにブロック塀は建築基準法の改正を試みました。その改正されたものが以下のような内容の一例になります。
組積造の塀に関する改定事項
1971年に改正した「高さ2m」でも倒壊の危険は避けられないと判断し、さらに低い1.2m以下に改正されました。また壁の厚みに対しても10分の1以上の厚みを求めることで地震で倒壊しないブロック塀をめざしました。
高さや厚みの規定に加え、壁の支えを設けることで補強をおこなうことを取り決めました。ここでの根入りの深さを20㎝が変更されなかったのは、高さや厚さの規定や控え壁を設けることで根入りを深くしなくても安全性は維持されると考えたからでしょう。
補強コンクリートブロック造の塀に関する改定事項
補強コンクリートブロック造の塀も宮城沖地震の影響を受け、まだまだ倒壊の危険性を感じる部分があると判断し、さらなる改正を進めました。高さは3m以下から2.2m以下まで引き下げられ、長さも3.2m以下ごとに作られていた控え壁も3.4m以下ごとに設置すればいいことが定められました。
これは宮城沖地震での倒壊の状況から判断して、もう少し間隔をとって控え壁を設置してもいいことや、鉄筋の末端は鍵かけしなくてもいいなどの緩和事項を含まれたのです。
【2001年施工】ブロック塀に関する建築基準法の改正内容
2001年にも、ブロック塀の建築基準法の改正がおこなわれましたが、ブロック塀に関しての基準は大きくは変わりませんでした。2001年の改正で変更になった部分は、国土交通省が定める基準にしたがって構造計算や実験をおこなわなくてはいけなくなったということです。
今までは、構造上で耐久力があるかどうかを算出していましたが、その基準は業者などによってバラバラでした。この基準を1つに定めることで、全国のブロック塀の耐震基準が高まるのです。
このように改正の経緯を踏んできたブロック塀の建築基準法ですが、2000年以前に作られたブロック塀はそれを満たしていないものがまだ数多く存在しています。このようなブロック塀をそのままにしておけば、大きな地震が発生したときに倒壊して、人の命を奪う危険性があります。
また、2000年以降に設置されたブロック塀もしだいに劣化していきます。ブロック塀はそのまま放置せず、定期的にメンテナンスをしていきましょう。さらに、ご自宅のブロック塀が倒壊の心配があるものであれば、至急補強工事をおこなうことをおすすめします。
自宅のブロック塀は大丈夫?危険度チェック
最近、ご自宅のブロック塀をしっかりご覧になったことはありますか?普段は見逃してしまいがちのブロック塀ですが、実は大変危険なものになっているかもしれません。
ブロック塀は建築基準法により改正され、倒壊しづらいものが作られるようになりましたが、それ以前のものはまだまだ危険が潜んでいます。ご自宅のブロック塀が安全かどうか、一度ご自身でチェックしてみてはいかがでしょうか。以下の点に注目してみてみましょう。
・ブロック塀の高さは地面から1.2m以下になっているか
・ブロック塀は15㎝以上の厚さがあるか
・ブロック塀の適切な位置に控え壁が設置されており、壁の1.5倍以上の厚みがあるか
・基礎は劣化している部分がなく、地盤としっかりつながっているか
・塀がななめになっていたり、ひび割れなどが目立つ場所はないか
・基礎が地面に20㎝以上埋まっているか
・ブロック塀の内部に鉄筋が組み込まれており、縦横に張り巡らせてあるか
もし以上のような部分であてはまることがあれば、ブロック塀を補強する必要があります。また、根入りの深さを素人が判断するのは難しいので業者に依頼して、測ってもらいましょう。
危険なブロック塀はすぐに補強!費用相場と補助金制度
ご自宅のブロック塀が建築基準法の改正基準に満たなかったり、劣化して危険度が高まっていたりするようであれば、ブロック塀の補強工事が必要です。補強工事となれば、費用の面を心配されるかたも多いのではないでしょうか?ブロック塀をどのように補強するかによって、価格も変動してきます。
ブロック塀の交換は約3万円ですが、そのほかに既存のブロック塀を解体する費用が約5万円、基礎の工事が約1~3万円で合計約8~9万円が費用の相場となっています。
また、部分的な補修で済む場合は、約1~2万円と費用を抑えることができます。しかし、普段気にもとめないブロック塀にお金がかかるとなると、先延ばししたくなるかたもいるかもれません。
そんなかたは市や町の補助金制度を利用するといいでしょう。多くの地方自治体では、耐震化を進めるため、住宅のほかにブロック塀の補強工事の支援もおこなっています。そのなかでも多くの自治体が条件として挙げているものの一例をご紹介しますね。
・補助対象→道路に面しているブロック塀であること。
・ほかの補助金制度を受けていないブロック塀であること。
・高さが1m以上であること。
・補助金額→撤去工事にかかる費用の約2分の1~4分の3程度の補助金がでることが多い。(上限は約10~20万円程度と定めているところがほとんど)
このように、各地方自治体でブロック塀に関しても耐震化が進められる傾向にあります。補助金の条件や補助金額は各地方自治体によって異なるので、問い合わせてみてください。
まとめ
住宅の耐震化に注目されがちですが、最近ではブロック塀に耐震化も重要になってきました。それは、大きな地震が発生したときに、ブロック塀が倒壊して人に危害を及ぼすことがわかったからです。ブロック塀が建築基準法の改正により、現代まで強化されてきましたが、まだまだすべてに対応できていないのが現状です。
ご自宅のブロック塀も一度点検してみてはいかがでしょうか?点検する際はセルフチェックも重要ですが、業者に依頼してより正確なブロック塀の状況を知ることが大切です。ブロック塀の現状を把握して、正しい補修工事をおこなえば倒壊の危険性は非常に低くなります。
もしブロック塀に危険性がある場合は、すぐに業者に依頼して補強工事や解体・撤去をおこないましょう。補強工事や撤去に関する費用は、自治体によって補助がでることがあるのでお住いの地域の自治体に相談してみてください。
耐震工事を依頼できる業者や料金
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